コラム

幸せを感じる

ある時、生徒さんに「先生はどんな時に幸せって感じますか?」と聞かれたことがあります。
幸せってひと言で言っても、その感じ方は人それぞれだとは思うんですね。私の場合は、日常のふとした瞬間に幸せを感じることが多い気がします。

○○さんが幸せになれますように・・・」って願うことも、もちろんありますが、何も特別な事が起こらなくても、実は幸せってそこら中にあるんじゃないかとも思います。目の前にある幸せに気付かずに見過ごしてしまうことは、案外多いのかも知れませんよね。

そう感じるきっかけになった、ある日の出来事です。
強い日差しが和らいだバリ島の夕方、クタの海辺にあるお気に入りのカフェを出てから駐車場までの間、考え事をしながら歩いていると突然、そよ風がフッと吹き抜けたんです。駐車場に生えていた沢山のヤシの葉が風に揺れ涼しげな音を立てただけでなく、頬に感じたその風はとてもヒンヤリしていました。たった今出てきたばかりのクーラーの良く効いたカフェの中よりも数段心地良く、思わず目を閉じてしばらくその風を味わった程でした。
それはそれは、本当に気持ちよかったんです。
カフェにいる間もずっと考え事をしていたので、その時もつい無意識のうちに下を向いたまま歩いていたんだと思います。考え事ばかりしているわたしに話しかけるかのように一瞬吹いたそのそよ風。そのあまりの心地よさとカサカサというヤシの葉ずれの音に思わず見上げたわたしの視線のその先に飛び込んできたものに、さらに驚かされました。我を忘れて息をのむとはこういう事なのかとぼんやりと感じながら私が見つけたもの・・・
それは、オレンジ色のでっかくてまあるい太陽でした。

一度は車に近づいたわたしもそこで立ち止まり、その太陽がゆっくりと水平線上に沈むまで、見続けました。
時々、吹き抜ける風を感じながら、ついさっきまで考え事をしていたことなどすっかり忘れてしまって。
オレンジ色の大きな太陽に魅入っていたときのわたしは、「わー、なんか幸せだな〜」ってまさにとびきりの幸せを胸いっぱいに感じていたんです。
もし考え事に集中したままそよ風が吹いた事にも気付かなかったら、下ばかり向いたまま歩いて車に乗り込んでしまっていたら・・・
きっと、あんなに大きくてキレイな太陽が沈むところなど、ゆっくりと見れなかったかも知れないですよね。

長年バリに住んでいますので、美しい海や夜空に輝く満天の星、海から聞こえる心地よい波の音、どこまでも広がるライステラスと心に優しいものに囲まれて暮らしてきました。もちろん、なんども超がつくほど美しいサンセットを見る機会にも恵まれてきました。
今までも、こうやって知らぬうちにバリの島全体に癒され、幸せに囲まれていたんだと思います。
そして、あの日見た太陽のあの大きさ、あの美しさは今でも忘れられません。

この出来事をきっかけに幸せを感じる秘訣のひとつは、実はそこに在るものにシンプルに気付くことなんじゃないかなって思いました。
私たちの周りには沢山の幸せを感じることのできる出来事や状況があって、ただそれに気付くかどうかの違いなのではないかと。
辛い時や苦しい時、悲しいときこそ、私たちは目を閉じ耳を塞ぎ、感じるハートまでも覆って生きてしまうものですよね。
私たちがどういう状況の中で生きようとも、幸せは実はいつも変わらずにそこら中に在る。

みなさんは、多忙な毎日の中で目の前の問題に追われてしまい、ずっと下を向いたまま歩いたりしていませんか?
少し顔をあげてみると、そこにはなにか違ったものが見えるかもしれないし、聞こえるかも知れません。それに気付いた時、私たちは幸せを感じているのではないでしょうか?

幸せ・・・
私たちが、気付いても気付かなくてもただそこに在るもの・・・
変わらず、ずっとそこに在り続けるもの・・・
そんな気がしてなりません。

みなさんはどんな時に幸せって感じますか?